前身である「口腔感染予防研究会」の発足経緯
「口腔感染の予防」と「院内感染予防」について、第一線の歯科開業医、病院歯科、臨床と基礎を含めた大学病院の勤務者が一堂に会して議論できる場を作ることを目指して設立され、平成4年7月30日に発起会が開催された。
当時の発起人は、以下の19名である。
佐川 寛典、佐藤 完爾、島田 桂吉、志水 三郎、多治米 保夫、田中 義弘、辻 忠良、寺延 治、中尾 薫、中尾 俊一、中久木 一乗、中西 孝一、船越 嬉征、村井 俊郎、村瀬 進、山崎 宏、吉田 欣也、吉田 朔也、吉位 尚 (敬称略)
発起会開催当時、医療の中においてHIV、HBVやHCVなどに対する感染予防の問題が非常に重要な課題として取り上げられていたことを踏まえ、その名称を「口腔感染予防研究会」とすることを決定した。
初代理事長に島田桂吉:神戸大学口腔外科教授が推薦され、大学病院、病院歯科、歯科開業医、それぞれから役員の選出をすることも申し合わされた。
その後、発起人による計11回の設立準備委員会を経て、平成5年2月6日 「第1回 口腔感染予防研究会総会」が348人の参加を得て神戸にて開催された。
(詳細は、「口腔感染予防研究会雑誌 第1巻」に掲載)
「日本口腔感染症学会」への名称変更の経緯
口腔感染予防研究会の発足はAIDSやB型、C型肝炎などの院内感染への対応が社会的にも重要視されている時期と重なり、感染予防の意味から口腔感染予防研究会という名称はわかりやすく多くの先生方に受け入れられたことも事実である。しかし、院内感染予防の他に齲蝕や歯周炎に継発する歯性感染症に対する予防や治療、心内膜炎など他臓器への感染やウイルス性感染症の話題なども学術大会やカンファレンスで取り上げられてきた。
このように、本研究会では口腔に関わる種々の感染症に対する治療上の問題点についても総括的に検討されてきており、感染予防という名称は実態に即していないので変更すべきではないかという指摘も数年前から受けるようになってきていた。また、名称変更を機に全国的に研究会への参加を呼びかけ、より多くの基礎・臨床家の研究成果が採り入れられるようにすべきだという意見も聞かれるようになってきた。
そこで、発足してから10年目を迎える時期に際し、会員の意向と本研究会の今後の発展を考慮して、平成12年開催の第9回総会において研究会の名称変更に関する議案が提出され、平成13年4月より「日本口腔感染症学会」と名称を改め全国展開をはかることが承認された。
(詳細は、「口腔感染予防研究会雑誌 第7巻」に掲載)